川崎病発症まで
我が子が川崎病を発症した時の様子を残しておこうと思います。
発症したのは10月下旬でした。発症年齢は3歳でした。
1日目 発熱 38.5度くらい 本人の機嫌も悪くない その他の症状は特にありませんでした。
2日目 熱 38.5~39度くらい その他の症状はなし 家で様子見
高熱でしたが、今までにも高熱は経験していたので、慌てることなくその他の症状もなかったので、家で様子を見ることにしました。医者にいっても熱だけじゃ診断できないと思ったからです。
3日目 熱 38.5~39度くらい その他の症状はなし 家で様子見
坐薬の解熱剤を使っていったんは熱は下がるがすぐに高熱に戻ってしまいました。
夜になって体に赤い斑点が急速にではじめました。手足口病かと思いましたが、斑点の模様が大きく、まだらで、今までにみたことがない形で、様子がおかしいと感じました。
夜の時点で目も充血していて機嫌も悪くぐったりした様子でした。すぐに床に倒れこんでしまい、起きてられなかった様子を覚えてます。斑点が背中に多くでていました。この時点で手足口病か、他の疾患だろうと予想していました。明日朝いちばんで小児科に行こうと考えました。
川崎病急性期 発熱から4日目に総合病院へ入院
4日目 熱40度 午前中に近所の小児科に行くと
「川崎病かもしれない。すぐに病院へ行ってください」
と言われただちに病院へ向かいました。優先して診察を受け、診察の結果
すぐに入院 治療開始 とのことでした。
入院1日目
川崎病と診断された時の血液検査結果データ(治療開始前)
TP 6.7 基準値(6.3-8.2 g/dl)
Alb 3.7 基準値(3.4-5.0 g/dl)
AST 193H 基準値(7-38 U/L)
ALT 508H 基準値(8-40 U/L)
CRP 4.21H 基準値(0.0-0.5 mg/dl)
IgG 657L 基準値(870-1700 mg/dl)
※Hはhighの意
すぐに点滴治療が開始されました。治療はベニロン2500mg 2クールだったかと思います。川崎病の急性期に使用される点滴静注剤です。ガンマグロブリンをなるべく早く投与することで後の後遺症のリスクを下げることにつながるようです。冠動脈障害防止するため現在は川崎病の急性期に広く使用されているようです。主治医の先生はエコーで子供の心臓をしきりに観察していました。動脈瘤ができていないか調べていました。
点滴が一滴一滴落ちてこどもの体内に入っていく様子を見守っていました。こどもの機嫌は悪く、入院して、小さな檻のベットに入れられたことで更に泣き叫んでおりいたたまれない様子でした。
5日目 熱 38度 点滴治療が続く
入院2日目
気が付いてみれば、こどもは、5日間以上の下がらない高熱、赤い発疹、目の充血、いちご舌、リンパ節の腫れ、口を痛がる、川崎病特有の症状が多くでていました。
川崎病と診断 治療開始後の血液検査結果データ
TP ***
Alb ***
AST 68H 基準値(7-38 U/L)
ALT 257H 基準値(8-40 U/L)
CRP 3.90H 基準値(0.0-0.5 mg/dl)
IgG ***
前日よりも3つの数値が下がりました。主治医の先生も治療の効果がではじめたとおっしゃってました。
夕方 熱 37度
熱も37度台になり、少し安堵しました。
6日目 熱 36.8度
入院3日目 治療の効果で熱が36度台になり、胸をなでおろしました。このまま熱が下がれば退院できるような気がしてきました。主治医の先生の表情も明るくなり前向きな発言が多かったです。心臓のエコー検査をし、動脈瘤ができていないか毎朝確認されてました。
川崎病 治療開始後の血液検査結果データ 入院3日目
TP 7.0 基準値(6.3-8.2 g/dl)
Alb 2.7L 基準値(3.4-5.0 g/dl)
AST 37 基準値(7-38 U/L)
ALT 186H 基準値(8-40 U/L)
CRP 3.08H 基準値(0.0-0.5 mg/dl)
IgG 2988H 基準値(870-1700 mg/dl)
前日よりも炎症反応の数値が下がりました。
7日目 入院4日目 熱 36.9度
昼 熱 37.6度
夕方 熱 37.9度
特に点滴はせず一日様子見でした。夕方 熱が38度に近づき、いやな予感がしました。またこどもの体の中で抑えられていた何かがくすぶりはじめているようでした。
8日目 熱 38.6度
入院5日目 熱が再び上がり、落胆す。
主治医の先生から熱が上がってきたので治療を再開するとのことでした。冠動脈瘤を作らないためにも炎症をくいとめなければなりません。川崎病で怖いのは心臓の周りに動脈瘤ができてしまうこと。つまり血管のコブです。大きく膨らんだコブが残ってしまうと、のちのち破裂するリスクにつながるからです。冠動脈ができてからでは遅いのですぐにベニロン点滴の治療開始となりました。先生は毎回心臓のエコー検査で注意深く動脈瘤ができていないか多角的方面からチェックしていました。
そのエコー検査の間 私は一歩下がった場所から息をひそめて無事でありますようにとただただ祈るしかありませんでした。検査が終わって先生がなにを言うのか、つばを飲み込むほど緊張の瞬間でした。幸いこの時点ではコブはできていない様子でした。しかしエコー検査では見えにくい場所もあるので、100%大丈夫とは先生も言い切れなかったと思います。
入院5日目 川崎病 治療開始後の血液検査結果データ
TP 7.7 基準値(6.3-8.2 g/dl)
Alb 3.1L 基準値(3.4-5.0 g/dl)
AST 42 基準値(7-38 U/L)
ALT 118H 基準値(8-40 U/L)
CRP 2.15H 基準値(0.0-0.5 mg/dl)
IgG ***
前日よりも炎症反応の数値が下がりましたが昼には熱は39度になってしまいました。
昼 熱 39度
高熱再び 免疫グロブリン点滴2クルール目開始へ
9日目 熱 38.3度
入院6日目
主治医の先生から血管の炎症が長引くと冠動脈瘤につながるので、
ベニロン2クール目 プレドニン10mg開始
Alb アルブミンが低値となり、ミラクリッド追加
とのことでした。プレドニン(ステロイド)か・・・と思いましたが、とにかく急いで治療をしないと後遺症につながるので、早めに手を打たないといけませんでした。動脈瘤ができてから治療をしても遅いのです。とにかく血管の炎症がある限り、できる限りの治療を続けます。
昼になり、先生が血液検査の結果を見ながら、IgGが5000を超えており、これ以上は免疫グロブリンは投与できないとのことでした。今までベニロン点滴で投与していたのが、このIgGということでした。
入院6日目 川崎病の血液検査結果データ
TP 9.9 基準値(6.3-8.2 g/dl)
Alb 2.8L 基準値(3.4-5.0 g/dl)
AST 34 基準値(7-38 U/L)
ALT 70H 基準値(8-40 U/L)
CRP 3.41H 基準値(0.0-0.5 mg/dl)
IgG 5011H
Alb アルブミンが低値となり、追加されたミラクリッドについて・・・
ウリナスタチン(商品名:ミラクリッド)は、症状が急激にあらわれる時期に増える好中球が、エラスターゼなどを産生し、血管の内側の細胞に傷をつけます。 その損傷を防ぐために、多価酵素阻害剤「ウリナスタチン(商品名:ミラクリッド)」を静脈に点滴してエラスターゼの作用をさまたげ、炎症を抑えます。
昼 熱 37.2度
夕方 熱 36.6度
熱ばっかり測ってました。川崎病は熱が判断基準になるため、熱があがってくるとただただ恐ろしく感じました・・・
熱が上がる・下がらない = 入院が長引く そして後遺症のリスクが上がる
ということになります。
発熱してから10日目 熱 36.8度
川崎病 入院7日目
ステロイドとミラクリッドの点滴が続きます。ベニロン点滴はなし
夕方 熱 37度
発熱してから11日目 熱 36.8度
川崎病 入院8日目
プレドニン(ステロイド)とミラクリッドの点滴が続きます。 ベニロン点滴はなし
発熱してから12日目 熱 36.8度
川崎病 入院9日目
昼 熱 36.5
夕方 熱 37.0
夕方になり、37度を表示したので、ドキっとしました。夜になると熱は上がってくる傾向にあります。明日の朝が・・・こわい。
発熱してから14日目 熱 36.5度
川崎病 入院11日目
熱は36度台でほっとしました。
発熱してから15日目 熱 36.8度
川崎病 入院12日目
昼 熱37.2度
夕方 熱 36.5度
熱は36度台後半から37度半々。
入院生活にも慣れ、3時のおやつや、遊びを楽しんでいた入院後半
発熱してから16日目 熱 36.8度
川崎病 入院13日目
熱が上がりそうな気配でただただ見守る。
発熱してから17日目 熱 36.9度
川崎病 入院14日目
熱が37度すれすれで安定していますが、油断すればすぐに37度を越してしまいそうな境界をただよっていました。まだ安心はできない状態でした。子供の平熱はこのあたりではないので、元の平熱に戻るのかちょっと心配に感じました。
発熱してから18日目
川崎病 入院15日目
夕方の熱 37.3度
夕方になってまた熱が37度を越え、一喜一憂していました。主治医の先生も時々いらっしゃり様子をみてくださいました。
おやつだけが、楽しみでした。
川崎病退院まで
その後は同じような状態が続きました。ある程度長い期間平熱でいることが退院の判断基準となるのか、すぐには退院できませんでした。親としても、家に帰ってもまたすぐに熱が上がってきたら、川崎病の熱なのか、それ以外の熱なのかも判断できませんし、熱が下がったからと言ってすぐに退院しても困るな、と感じました。
動脈瘤につながる川崎病の熱、血管の炎症は甘くみてはいけないので先生方も慎重でした。先生の退院許可がでたのは退院の2,3日前だったかと思います。このころになると手の指先の皮がわずかにむけてきているように見えました。皮がむける=回復・完治 の印でほっとしました。
爪の近くの皮がむけ始めたころ
入院期間は3週間でした。 3週間で退院できました。
当初1週間ほどで退院できるかと思っていましたが、再度熱があがりはじめたので、入院が長引くこととなりました。
入院して12日くらいまでは必死の点滴治療が続き、熱が37度あたりで安定してからは飲み薬中心だったと記憶しています。アスピリンです。
川崎病の判断基準はなんといっても熱なので、血液検査をしなくても熱が目安になり、熱が上がれば、即座に治療、熱が下がってくれば 一安心、となります。
熱が上がる=血管の炎症が続いている=心臓のまわりに冠動脈瘤が形成される=後遺症が残る
ということが知られており、先生たちも看護師さんたちも必死に治療を続けてくださいました。おかげで川崎病での入院期間は3週間にもなりましたが、無事退院することが、でき感謝の気持ちでいっぱいです。
この3週間もの間、夜をひとりで過ごした子供、痛い注射を何回も我慢したこどもにもよく頑張った、えらかったね、とほめてあげたい思いでした。
入院中のこどもの様子 辛い別れ
とにかく急性期は機嫌が悪く、高熱と発疹と口の痛みと点滴や注射で手が固定されていることで暴れていましたし、ここからだせと大声で訴えていました。
夜は親は帰宅する病院でしたので、夜9時ごろの別れ際がいつも辛く、泣き声が廊下まで響いていました。こどもも親も辛い瞬間でした。毎回この瞬間が一番しんどいものとなりました。そのうち夜になると、こどもも親がいなくなるのではないかと察するようになりました。隣で添い寝して、9時ごろにそっと抜け出し帰宅しようとするのですが、すぐに気づかれてしまいまた一からやりなおしの日々でした。
入院生活も2週間くらいになり、熱も落ち着き点滴もとれると、こどももフロア内を歩くことができたり、遊ぶことが許されました。そして3時のおやつを何よりも楽しみにするようになりました。親が帰ってももう平気といわんばかりの様子で元気でした。
3週間で退院となりましたが、退院後も病院にいけばおやつが食べられるのではないかと、病院へ定期健診に行くのを楽しみにしている様子がありました。(笑)
川崎病の子供が増加 入院期間について 入院が長引くケースも
薬が効きにくい場合もあり、1週間で退院できる子、2週間の子、3週間の我が子、そしてさらに長引く場合もあるようです。
同じ時期に同じフロアに川崎病で入院しいてる子供が3人ほどいましたが、彼らもまだ治療が長引いていました。先生によればこの頃は免疫グロブリンが聞きにくく、治療が長引くケースが増えているとおっしゃってました。同じフロアに3人も4人も川崎病のこどもが入院しているのも不思議な思いでした。感染しない病気です。一人退院したと思ったらまた一人入院してきたので、やけに多いなと思いました。しかしお互いのこどもの様子や、何クール目の治療か、など情報交換もできました。
川崎病の後遺症 定期検査について 川崎病の再発のリスク
アスピリンは退院後もしばらく飲み続けるよう言われ実施しました。退院後も家でしばらく安静にし、薬を忘れずに飲み続けるようにとのことでした。
1か月検診、3か月検診、半年検診でエコー検査をして心臓のまわりに冠動脈瘤がないか確認してくださいました。その後も定期的に半年検診がありましたが、我が家の場合心配する動脈瘤はみつからなかったので、その後は1年後に行きました。
川崎病には再発が伴うと聞いていたので、退院後は熱がないかどうかを観察するのが日課となりました。一度38度の熱がでたときは本当にひやっとしました。幸いすぐに下がった熱でした。
以前は心臓後遺症の合併率は30%前後とのことでしたが、治療法の進歩により、川崎病の後遺症率は3%にまで減少したようです。川崎病にかかったこども1000人に1人~3人の突然死が報告されているようです。突然死の時期は発病から2か月以内が60%、1年以内が80%だそうです。
川崎病の再発率は4%。約30人に一人が再発すると報告されているようです。再発で一番多いのは、発症後1年以内だそうです。まれに7年後とか、成人してからもあるそうです。まずははじめの1年無事に過ごせるように祈っていきました。現在のところ良好です。
アスピリンの飲ませ方 川崎病の薬は水に溶けにくい
退院後もしばらくの間炎症をおさえる薬 アスピリンをしっかり飲ませるように指示をうけます。忘れずにこどもに投与しました。いつまで飲ませるのかは医師によってもこどもによっても違いますが、我が子の場合は、1か月検診のときに先生からもう飲まなくてもよいと言われました。こどもによっては、半年間 薬を飲む場合もあるようですね。
このアスピリンは水に溶けにくく飲ませにくいのが特徴です。
小さい赤ちゃんの場合苦労しますが、注射器、スポイトでのませる、スプーンに水、ヨーグルトやジュースをのせ、一緒に飲ませるなどの工夫で根気よく投与しましょう。
我が家の場合は3歳だったので、甘いものと一緒にスプーンでくちに入れていました。
生後2,3か月の乳児も発病する川崎病
一般に6か月未満の乳児が川崎病を発病すると、重症になりやすく後遺症も多くなる傾向があるようです。川崎病の場合は特定の細菌、病原菌がみつかることはなく、抗生物質は効果はありません。高熱が5日以上下がらない、発疹、機嫌が非常に悪い、場合早めに受診を。
知っておきたい川崎病の症状の経過
最初の症状から4日から6日に川崎病と診断されるケースが多く、この時期を急性期という
入院して治療をはじめると熱が下がりはじめ、「回復期」という。
主要症状は平均すると10日ほどでよくなるが、なかには2-3週間以上もかかる場合がある。
発熱が持続する例では発病9日目ごろから冠動脈障害が発現してくる。
回復期の症状として、手足の皮がむける「まくようらくせつ」膜様落屑という現象がある。
その後の時期を遠隔期という。冠動脈病変があるかどうかにより、長く入院するケースもある。冠動脈病変がなければ薬を1-2か月飲み続ける。その後心臓エコーの定期検査。
川崎病原因説 川崎病の不思議
合成水銀、水銀、ダニ抗原、スーパー抗原、血管内皮に対する自己抗体、予防接種、やけど
感染症説・・・リケッチア、細菌、カビ(カンジタ)、ウイルス
男子が女子の1.3倍多い。こどもの数は減っているのに発生率は年々高くなっている。
過去2回の大流行あり。1982年(S57) 1985年(S60)
以前から日本人をはじめとするアジア人に患者が多い。
現在はいくつかの菌と遺伝子が関係しているという最新の研究結果がある。
川崎病に かかった後の予防接種について
後遺症の有無にかかわらず、一定期間が過ぎれば、すべての予防接種を受けて可とのことです。
ガンマグロブリンの治療を受けた場合は半年、生ワクチンはさける。それ以外は2か月あけるとか。我が家も多めに見て、すべての予防接種は半年以上あけました。せっかく接種しても免疫がつかないんだとか。
参考文献「患者と家族のための川崎病Q&A」
入院中とても為になった本が川崎病Q&Aです。親が先生に聞きたいこと、心配することがほとんど網羅されています。退院後の再発や、学校で気を付けること、成人になってからなどのことも書いてあり退院後もときどき見返して読んでいます。